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仮想通貨の税金が50%は嘘?税理士が教える【正しい計算方法と節税術】

はじめに:仮想通貨と税金への関心

仮想通貨や税金について興味を持つ人が増えている中、私が保有しているのはビットコインとイーサリアムです。

今日のテーマはこちらです。
「仮想通貨で儲かったら税金が50%もかかるって本当?」
この疑問について、現役税理士として私が解説していきます。


今日は、主に個人向けの内容です。
私自身も仮想通貨について勉強を兼ねて、3年前にビットフライヤーさんで口座を開設し、投資を始めました。
今回、そのビットフライヤーさんとのタイアップ企画として、この動画をお届けしています。

ただし、私は投資系YouTuberではないので、「仮想通貨でこうすれば儲かる」といった話ではありません。
どちらかというと、守りの話――つまり、仮想通貨で儲かったときの税金の計算方法や節税策を中心に解説していきます。


仮想通貨に関しては、まだまだ誤解している方が多いようです。
「仮想通貨で儲かったら、税金が50%もかかる」と思っている人が少なくありません。

これに対する結論から申し上げます。

答えは「NO」です。
仮想通貨で利益が出ても、必ずしも税負担が50%になるわけではありません。
その税率は、儲けの金額や他の所得状況によって変動します。


  1. 仮想通貨で投資したら確定申告が必要なのか?
  2. 実際どれくらい税金がかかるのか?
  3. 節税策はあるのか?(法人で取引した場合も含む)
  4. 仮想通貨投資の始め方(実体験に基づく紹介)

それでは順に見ていきましょう。


目次

1. 仮想通貨の利益に確定申告は必要か?

結論から言うと、
たとえばサラリーマンの方が仮想通貨投資をして、少額の利益が出た程度であれば、所得税の確定申告は不要です。

では、どういうケースで確定申告が必要になるのでしょうか?以下の3つの代表例を紹介します。

① そもそも確定申告が必須の人

給与収入が2,000万円を超えている方は、仮想通貨での利益にかかわらず確定申告が必要です。

② 1か所から給与を受け取っている人

給与以外の所得(仮想通貨による雑所得など)が年間20万円を超えている場合、確定申告が必要になります。
この「20万円超」は、仮想通貨の**収入から経費を引いた利益(所得)**を基準に判定されます。

③ 2か所以上から給与を受け取っている人

サブの給与収入と仮想通貨による雑所得の合計が20万円を超えている場合、こちらも確定申告が必要です。

なお、住民税については20万円未満でも申告が必要なケースがあるため、原則として仮想通貨取引をしたら申告が必要と考えておくのが無難です。


2. 仮想通貨の税金はどれくらいかかる?

仮想通貨の利益は基本的に**「雑所得」として扱われます。
そして雑所得は
総合課税**の対象になります。これは、給与所得など他の所得と合算して税額を計算する制度です。

雑所得の計算方法:

コピーする編集する売却価格 - 必要経費 = 雑所得(=儲け)

この雑所得に対して、所得税(+復興特別所得税)と住民税が課されます。
税率は所得の金額に応じて段階的に高くなる「超過累進税率」が適用されます。

課税所得額(年間)所得税率
~195万円5%
~330万円10%
~695万円20%
~900万円23%
~1,800万円33%
~4,000万円40%
4,000万円超45%

これに加えて、住民税(10%)と復興特別所得税(所得税×2.1%)が加算されます。
そのため、最高税率は55%超
にもなる場合があります。


なぜ「税金が50%かかる」と言われるのか?

これは、いわゆる「億り人(おくりびと)」――
仮想通貨で1億円以上の利益を出した人が、実際に**最高税率(55%以上)**が適用されているためです。
この事例だけが目立って語られているため、一般の人にも「儲かったら半分もっていかれる」と誤解されてしまっているのです。


必要経費で節税できる?

雑所得にかかる税金は、必要経費をしっかり引けるかどうかでも大きく変わります。
必要経費が多ければ、課税対象となる所得を圧縮でき、結果として節税につながります。

「どこまでが経費にできるか?」については、次の章で詳しく説明します。

仮想通貨の税金はどうやって計算する?経費の考え方も解説!

仮想通貨の取引で得た利益は、**「雑所得」**として税金の対象になります。
では、具体的にどのように税金を計算すればいいのでしょうか?

仮想通貨の取得価格は「総平均法」で計算

個人で仮想通貨を取引する場合、原則として総平均法を用いて取得価格を算出します。
これは、その年に購入した仮想通貨の総額を合計し、平均単価を出す方法です。

例:

  • 2024年中に合計300万円で仮想通貨を購入
  • 合計10BTC分購入したと仮定
    → 平均単価 = 300万円 ÷ 10BTC = 30万円/BTC

この平均取得価格を基に、売却時の差額を雑所得として計算します。

計算が不安な人は「取引報告書」を活用しよう

取引所(例:bitFlyerなど)では、**年間の売買履歴をまとめた「取引報告書」**を発行しています。
これを使えば、取得価格や売却価格、差益を簡単に確認でき、確定申告もスムーズに行えます。

bitFlyerの取引報告書では、以下のような内容が記載されています:

  • 総資産の一覧
  • 入出金履歴
  • 年間の損益計算結果(雑所得額)

必要経費にできるものは?

仮想通貨の税金は、売却益から「必要経費」を差し引いて計算できます。
必要経費として認められる代表例は次の通りです。

取引手数料

  • 売買のたびに発生する手数料

パソコンやスマートフォン

  • 仮想通貨取引に直接使っている端末の購入費
  • 通信費(取引専用回線など)

※10万円未満の端末なら、一括経費計上が可能。
10万円以上の場合は減価償却(数年にわたって分割計上)となります。

マイニング機材

  • 仮想通貨をマイニングして得た場合、機材代や電気代も経費対象です。
  • マイニングで得た仮想通貨は、取得時の時価で収入計上する必要があります。

含み益には税金はかからない

仮想通貨が値上がりしても、売却しない限り税金はかかりません
いわゆる「含み益」は課税対象外ですので、値上がり中でも慌てて申告する必要はありません。

3仮想通貨の取引と税金・節税に関する要点まとめ(箇条書き)

■ 仮想通貨の個人取引における税金計算

  • 個人の仮想通貨取引は「雑所得」として総合課税の対象。
  • 損益の計算方法は「移動平均法」が原則。
  • ビットフライヤー等で発行される「取引報告書」を使えば、計算が簡便になる。
  • 購入金額(取得価格)と売却額との差額が所得となる。

■ 経費として認められるもの

  • 取引手数料
  • 仮想通貨取引専用で使用するPCやスマホの費用(条件あり)
  • 通信費(業務用途と認められる場合)
  • マイニングを行っている場合、その機材代なども経費に算入可能
  • 10万円未満の資産は即時経費化も可能(少額減価償却の特例)

■ 雑所得の特徴と制限

  • 雑所得の赤字は給与所得など他の所得とは損益通算できない。
  • 年金・為替差益など、同じ雑所得内であれば通算可能。
  • FXは「申告分離課税」であり、仮想通貨の雑所得とは通算不可。
  • 雑所得は損失の繰越控除(翌年以降の節税)はできない。

■ 法人化による節税メリット

  • 所得に対する法人税率はほぼ一律(年800万円以下なら約25%、最大でも約35%)。
  • 経費として認められる範囲は広く、仮想通貨関連の機材や電気代等も対象に。
  • 赤字は10年間繰越可能。将来の黒字と相殺して節税が可能。
  • 他事業の利益とも通算可能(法人内での損益通算が可能)。

■ 法人化のデメリット・注意点

  • 仮想通貨の「含み益」も期末で時価評価され、課税対象となる(法人の大きなリスク)。
  • 実際に売却していなくても課税される可能性がある(資金繰りリスク)。

■ 仮想通貨取引のはじめ方(体験談)

国内大手での取引は初心者にも安心感がある。

安全性・信頼性を重視し、ビットフライヤーで口座開設。

以前、他社で口座がセキュリティトラブルで凍結された経験あり。

仮想通貨取引で節税したいなら「法人化」も選択肢に

仮想通貨で本格的に利益を狙うなら、法人化という選択肢も視野に入れる価値があります。
私自身も、仮想通貨にある程度まとまった資金を投じているなら、「法人化した方がいいかも」と感じています。

というのも、個人での取引はどうしても税率が高くなりがちなんですよね。
所得が増えると、最大で50%ほどの税金がかかってしまうこともあります。

一方、法人にすれば税率は原則一律で、利益800万円まではおおよそ25%程度
それを超えても35%前後が上限ですから、一定以上の利益が見込めるなら、法人の方が断然有利になるケースがあります。

法人化すると節税の選択肢が広がる

法人にするメリットは税率だけではありません。
たとえば、法人名義でマイニング機材や高額なパソコンを購入すれば、それらを経費に一括計上(即時償却)できる制度もあります。
これは「中小企業経営強化税制」という制度で、要件を満たせば初年度に全額を経費化
できます。

実際、マイニング事業をやっている方にはよく使われている節税方法です。

また、法人は他事業との損益通算も可能です。
たとえば仮想通貨で赤字が出たとしても、YouTubeやネット通販など、法人内の他の事業で利益が出ていれば、その赤字と相殺できるんです。

さらに、仮に今年大きな損失が出たとしても、法人ならその損失を最大10年間繰り越すことが可能
翌年以降の黒字と相殺できるので、将来の節税にもつながります。

ただし、法人化には大きなデメリットも…

注意点もあります。
法人の場合、仮想通貨の含み益にも課税されるケースがあるのです。

たとえば、期末時点で保有している仮想通貨に「活発な市場(売買が盛んな取引所)」がある場合、その時価評価額が課税対象になります。
つまり、まだ売っていないのに「値上がりしてるから税金払ってね」と言われるわけです…。

これは正直、けっこうキツイです。
現金化していない含み益なのに、法人税を支払わなければならないのは、資金繰りの面で大きなリスクになります。

ただし、逆に言えば「含み損」が出ていれば、それを法人内の利益と相殺できるという意味でもあります。
つまり、法人化のメリット・デメリットは本当にケースバイケースなんですね。


法人化は「どれくらい利益が出るか」で判断を

最終的には、**どれくらい仮想通貨で利益を出せそうか?**という点が判断基準になります。

・年に数十万円〜数百万円の利益なら、個人のままでいいかもしれません。
・反対に、数百万円以上の利益が安定的に出そうなら、法人化を真剣に検討すべきです。

私の実体験から言っても、仮想通貨での取引額や利益が大きくなるにつれて、法人のほうが選択肢も広がり、節税しやすくなると感じています。

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