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年収1000万は手取りいくら?サラリーマンと個人事業主で違う税金の仕組み

年収1000万円。この数字を聞くと「高収入で安定している」という印象を受けるかもしれません。でも、税金の面で見ると実は見逃せない差があるんです。

私自身も気になって調べたことがありますし、最近では視聴者さんから「個人事業主との違いをもっと詳しく知りたい」という声をよくいただきます。今回は、その違いと節税のポイントについて、わかりやすくお話ししていきます。


目次

結論:節税しやすいのは個人事業主。ただし条件つき

先に結論を言ってしまうと、節税の自由度は個人事業主の方が高いです。

理由は簡単で、個人事業主は経費にできる範囲がとても広いから。自宅の一部を仕事場として使えば家賃の一部を経費にできるし、打ち合わせに使ったカフェ代や本代、PCやスマホ代まで対象になります。

ただし、これは「ちゃんと仕事で使っている場合」に限ります。やりすぎれば脱税になってしまうので、正確な記録と領収書の管理が大事です。


サラリーマンの税金計算はどうなっている?

サラリーマンの税金は「給与所得」として扱われ、会社が代わりに手続きをしてくれます。基本的には、年末調整で自動的に税金が計算されるので、自分で何か特別なことをする必要はありません。

給与所得控除とは?

例えば、年収1000万円のサラリーマンの場合、給与所得控除として220万円が自動的に差し引かれます。つまり、実際に税金がかかるのは780万円になります。

このように、会社員には一律で経費相当分が控除される仕組みがあるため、手間はかかりませんが、自由度は少なめです。


個人事業主の税金の仕組みとは?

個人事業主は、売上から実際に使った経費を差し引いた「所得」に対して税金がかかります。

たとえば、年間売上が1000万円で、仕事に使った経費が300万円なら、税金は残りの700万円にかかることになります。この「経費を自分でコントロールできる」のが最大の強みです。

節税できる具体例

  • 自宅の一部を仕事場に → 家賃や光熱費の一部を経費
  • 書籍やセミナー参加費 → 自己投資として経費
  • 車や交通費 → 業務で使えば経費に

このように、実態に即していれば多くの支出が税金を減らす要素になるんです。


所得税の税率はどう違う?

どちらの立場でも共通しているのは、所得が増えれば税率が上がる「累進課税」だという点です。

具体的には以下のようなイメージです:

  • 所得195万円以下:税率5%
  • 所得900万円超~1800万円以下:税率33%
  • 所得4000万円超:税率45%

これに住民税(おおよそ一律10%)が加わります。つまり、最高税率は55%になることもあるんです。


サラリーマンと個人事業主のメリット・デメリットまとめ

項目サラリーマン個人事業主
税金の手間少ない(会社が処理)多い(自分で申告)
経費の自由度ほぼなし高い
安定性高い不安定なことも
節税しやすさ限定的幅広い方法あり

所得税の「超過累進税率」とは?

今回は「所得税の超過累進税率」について解説していきます。
この超過累進税率という仕組みは、日本の国税を代表する特徴のひとつです。

課税所得金額、つまり所得控除を差し引いた後の金額に応じて、所得税の税率が段階的に上がっていく制度になっています。所得には、給与、不動産収入などさまざまな種類がありますが、それらを合算した金額に応じて税率が決まるのです。

例えば、課税所得が195万円以下であれば税率は5%、しかし、所得が増え、課税所得が4000万円を超える場合には、最高税率45%が適用されます。ただし、全額が45%になるわけではなく、195万円までは5%、195万超〜330万円までは10%といったように、階層ごとに税率が適用されます。

このように、所得が増えるにつれて負担も大きくなるのが特徴です。高所得者の中には、税負担の重さから海外移住を検討する方も出てきます。

所得税以外にも、住民税(10%:一律)や復興特別所得税(2.1%)が課され、さらにサラリーマンの場合は健康保険・厚生年金といった社会保険料も加わります。社会保険料は、おおよそ給与の15%程度がかかりますが、会社が半分負担してくれるため、サラリーマンはその点で優遇されています。

このように、日本の所得税制度は「超過累進税率」によって、所得が増えるほど税負担も増す仕組みになっています。消費税が一律10%であるのに対し、所得税はこのような構造であることを理解しておきましょう。


個人事業主の税金計算方法

続いては、個人事業主の税金計算方法について見ていきます。
個人事業主とは、いわゆるフリーランスや自営業の方のことを指します。

彼らの所得は「事業所得」とされ、売上から必要経費を差し引いた金額に対して課税されます。その後、生活状況に応じた「所得控除」を差し引き、所得税や住民税がかかります。結果的に、所得税+住民税の最低税率は15%、最大で55%程度となります。

個人事業主は「経費」を活用することで、節税が可能だと言われています。たとえば、ある個人事業主が年収1500万円で、経費が500万円かかったとしましょう。事業所得は1500万円−500万円=1000万円となります。

税金はこの「1000万円」に対してかかってくるので、経費を増やせば課税対象の所得を減らすことができる、つまり節税ができるわけです。もちろん、売上を意図的に減らす行為や架空経費を立てるのは脱税に該当するため、注意が必要です。


経費の考え方と注意点

「何が経費になるか?」については、税法上も明確には定められておらず、「事業との関連性があるかどうか」が判断基準となります。

所得税法では「必要経費」と呼び、法人税法では「損金」と呼ばれています。経費として認められるかどうかは、個人事業主自身が説明責任を果たせるかどうかが大切です。

そのため、事業に直接関係していれば経費として認められる可能性が高くなりますが、曖昧なケース(グレーゾーン)も多く、最終的には税務調査時に税務署と交渉して決まることもあります。


年収の定義と所得との違い

ここで、「個人事業主の年収とは何か?」という話をしておきましょう。

たとえば、売上が1500万円、経費が500万円というケース。
この1500万円は「年収」とは異なり、いわゆる「売上高」=「年商」にあたります。
自由に使えるお金ではなく、あくまで総収入の額です。

一方、1500万円−500万円=1000万円が「所得」になります。
この1000万円が、サラリーマンにおける「年収」のイメージに近いと考えてよいでしょう。
税引き後で自由に使える金額という点では、より現実的な収入になります。


サラリーマンと個人事業主の税負担比較

それでは、サラリーマンと個人事業主の税負担を比較してみましょう。

【条件】

  • サラリーマンの給与収入:1000万円(額面)
  • 個人事業主の所得:1000万円(売上1500万円−経費500万円)

サラリーマンには給与所得控除があるため、課税所得はおよそ780万円になります。
一方、個人事業主は控除が少ないため、税金の計算ベースは1000万円となります。

さらに、社会保険料も違います。
サラリーマンは会社が半額を負担するため、個人負担は約131万円。
一方、個人事業主は全額自己負担となり、約113万円(条件により変動)になります。

その結果、税金+社会保険料の合計負担額は以下の通りです。

  • サラリーマン:262万円
  • 個人事業主:341万円

したがって、手取りはサラリーマンが738万円、個人事業主が659万円となり、サラリーマンの方が有利という結果になります。


所得ベースで公平な比較をすると?

公平な比較のために、給与所得が1000万円になるようにサラリーマンの額面年収を1220万円に設定し、再度シミュレーションします。

結果、税金・社会保険料の負担額は以下の通り。

  • サラリーマン:345万円
  • 個人事業主:341万円

ほぼ同水準ですが、手取り額を見ると…

  • サラリーマン:875万円
  • 個人事業主:659万円

200万円以上の差が生まれています。これは、サラリーマンの方が給与所得控除などで実質的な課税所得が抑えられているからです。


それでも個人事業主が有利と言われる理由

ではなぜ、「個人事業主は節税できて有利だ」と言われるのでしょうか?
それは、「プラスアルファ」で経費に計上できる範囲が広いからです。

たとえば、自宅の一部を事務所にして家賃の一部を経費にしたり、車やパソコン、書籍、勉強会の費用など、事業に関係あると判断されれば多くの支出が経費として計上できます。

この「柔軟な経費計上」が、実質的に手元に残る金額を増やすことにつながっており、「節税がしやすい=個人事業主は有利」という印象を生んでいるのです。

所得税の「超過累進税率」とは?

今回は「所得税の超過累進税率」について解説します。
この仕組みは、日本の税制を象徴する制度のひとつで、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みになっています。

具体的には、「課税所得金額(=所得から所得控除を差し引いた金額)」に応じて、段階的に税率が上がっていきます。所得の種類は給与や不動産収入などさまざまですが、それらを合算した課税所得に基づき、所得税が計算されます。

たとえば、課税所得が195万円以下の場合は税率5%。課税所得が4000万円を超える場合は、最高税率45%が適用されます。ただし、全額に45%が課されるのではなく、195万円までは5%、195万円超〜330万円までは10%というように、段階的に税率が変わる「超過累進課税方式」が採用されています。

この仕組みにより、高所得者ほど税負担が重くなります。実際、税負担を嫌って海外移住を検討する人も出てきています。

所得税以外にも、住民税(通常10%)、復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかります。また、サラリーマンの場合、健康保険や厚生年金といった社会保険料も発生し、これらは給与の約15%程度を占めます。ただし、会社が半分を負担してくれるため、個人の負担は実質的に軽減されています。

一方、消費税は一律10%ですが、所得税はこのように段階的に税率が変化する点が特徴です。


個人事業主の税金の考え方

次に、個人事業主の税金計算について見ていきましょう。

個人事業主とは、いわゆるフリーランスや自営業者のことです。
彼らの収入は「事業所得」とされ、売上から必要経費を差し引いた金額が所得になります。この事業所得からさらに所得控除を差し引いて、課税所得が算出されます。そして、これに所得税や住民税が課されるのです。

税率は所得税+住民税で、最低15%から最高55%程度まで上がることがあります(住民税10%+所得税45%+復興特別所得税)。

このように、所得が増えれば増えるほど、課税額が大きくなる仕組みです。

個人事業主が節税できると言われる理由は「経費を使える」という点です。
たとえば、年収1500万円の個人事業主が経費として500万円を使った場合、所得は1500万円−500万円=1000万円となります。税金はこの1000万円に対してかかるため、経費が多いほど所得が減り、結果として税負担を抑えることができます。

もちろん、架空経費や不要な支出を計上するのは脱税になりますので注意が必要です。


経費の範囲と判断基準

経費とは、「収入を得るために直接必要な支出」を指します。
ただし、何が経費として認められるかは明確に定められていません。実務上は「業務との関連性があるかどうか」が判断基準になります。

所得税法では「必要経費」、法人税法では「損金」と表現され、いずれも「業務のために必要であるかどうか」が基準です。グレーゾーンに該当する場合は、最終的には税務署の判断に委ねられることもあります。

経費計上の際は、証拠書類(領収書・レシート等)をきちんと保管し、業務との関係性を説明できるようにしておくことが大切です。


個人事業主の年収と所得の違い

ここで、個人事業主の「年収」と「所得」の違いについて整理しましょう。

たとえば、年間の売上が1500万円で、経費が500万円かかった場合。
この1500万円は「年収」ではなく「売上」または「年商」と呼ばれます。

実際の所得(課税対象となる利益)は、1500万円−500万円=1000万円です。
この1000万円がサラリーマンで言うところの「額面年収」に近いイメージになります。

つまり、売上=年収ではなく、所得こそが実質的な収入と考えるべきです。


サラリーマンと個人事業主の税負担比較

それでは、サラリーマンと個人事業主で、どちらの手取りが多いのか比較してみましょう。

【前提条件】

  • サラリーマンの額面年収:1000万円
  • 個人事業主の売上:1500万円(経費500万円 → 所得1000万円)

サラリーマンの場合は「給与所得控除」があるため、課税所得は約780万円。個人事業主は経費差引後の1000万円がそのまま課税対象となります。

また、社会保険料にも差があります。

  • サラリーマン:会社が半分負担 → 約131万円
  • 個人事業主:全額自己負担 → 約113万円(収入や地域により変動)

最終的な税金+社会保険料の合計負担は以下の通り。

  • サラリーマン:262万円
  • 個人事業主:341万円

よって、手取りは以下のようになります。

  • サラリーマン:738万円
  • 個人事業主:659万円

この場合、サラリーマンの方が手取りが多くなります。


公平な条件で再比較した場合

先ほどは両者の「所得」が同額になるケースで比較しました。
今度は「サラリーマンの所得」が1000万円になるよう、額面年収を1220万円に設定して再計算してみます。

結果は以下の通りです。

  • 税金+社会保険料負担額
     サラリーマン:約345万円
     個人事業主:約341万円
  • 手取り額
     サラリーマン:約875万円
     個人事業主:約659万円

税負担はほぼ同水準ですが、手取りには大きな差があります。これは、サラリーマンには「給与所得控除」が適用されるため、課税所得が圧縮されることが理由です。


それでも個人事業主が「有利」と言われる理由

ではなぜ、「個人事業主は節税しやすくて有利だ」と言われるのでしょうか?
それは、支出を経費に計上できる範囲が広く、実質的な手取りを増やせる可能性があるからです。

たとえば、自宅の一部をオフィスとして使えば家賃の一部を経費にできますし、業務に使うスマートフォン代、書籍、セミナー参加費なども経費にできます。

つまり、「お金を使う=経費になる=税金が減る=手元に残るお金が増える」というサイクルが作れるのです。これが、個人事業主が「自由度が高く、有利」と言われる最大の理由です。

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