MENU

相続時精算課税制度が神改正!【2024年最新版】年間110万円の贈与が無税に?

2500万円の非課税枠はそのまま残っていて、さらにその枠とは別に、毎年110万円までは申告なしで贈与できます。これにより、相続税の「持ち戻し」の扱いも変わってきています。

「親から110万円以上の贈与を受けたら税金がかかるって聞いたけど、うちの場合も確定申告が必要なんでしょうか?」

という質問をいただきました。これについては少し誤解があるようです。

たしかに贈与税という税金はかかる可能性がありますが、申告が必要なのは贈与を“受け取った人”、つまり贈与された側、たとえば質問者のご家族のほうです。

ちなみに、この贈与税は2年ほど前に制度が改正され、計算方法や申告書の様式も変わりました。特に今年(令和6年)の申告からは、申告書のフォーマットが大幅に変更されていて、混乱している方も多いようです。

「もう所得税の確定申告だけで手一杯なのに、どうすればいいかわからない…」
そんな声もよく聞きます。

そこで今回は、こうした混乱を解消すべく、令和6年分からの申告書の変更点や、贈与を110万円ずつ繰り返すことで非課税にできる方法、さらには「7年間の生前贈与加算が無視できる?」と話題の相続税対策まで、わかりやすく解説します。

今回のテーマは「個人向け贈与税」に関する少しマニアックなお話ですが、非常に重要な内容です。


目次

相続時精算課税制度の改正とは?

さて、本日の最重要テーマは「相続時精算課税制度の改正」についてです。

「相続時精算課税制度」──なんだか噛みそうな名前ですよね(笑)。

でも実はこの制度、令和5年の税制改正で大きく変わりました。これは、ある意味とても前向きな「減税制度」なんです。

文字通り、一定の条件を満たせば、年間110万円までの贈与を、非課税で何度も繰り返すことが可能になります。
しかし、意外と知られていない制度でもあるので、今回しっかりと解説していきます。

この制度を理解することで、将来の相続税対策にも非常に有効に活用できます。


贈与税の計算方法は2種類ある

贈与税には、2つの計算方式があります。

1つ目は「暦年課税(れきねんかぜい)」です。
これは1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた金額の合計が110万円を超えた場合、その超えた部分に対して贈与税が課税される仕組みです。

つまり、たとえば太郎くんが親から贈与を受けた場合、申告義務があるのは贈与を“した側”ではなく、“受け取った側”である太郎くん自身、ということになります。

贈与税はこのように、もらった人が申告し、納税する仕組みになっています。

また、贈与額から基礎控除の110万円を引き、残額に税率を掛けたうえで控除額を差し引く形で計算します。
配偶者への贈与など、特殊なケースには特例がありますが、今回は割愛します。

贈与税の基本と税率

年間200万円以下の贈与であれば、税率は10%で済むため、少額であればそれほど負担は大きくありません。贈与税は、本来「相続税逃れ(租税回避)」を防ぐために設けられた制度です。


● 「相続税と贈与税は一体」と考える理由

相続税の回避を防ぐため、相続税と贈与税は実質的にセットで考える必要があります。これに基づいて導入されたのが「生前贈与加算制度」です。

相続開始前の7年間に行われた贈与は、たとえ非課税枠(110万円)内であっても、相続税の計算時に「なかったもの」として持ち戻され、相続税の対象に加算されます。ただし、すでに支払った贈与税は控除可能です。

この7年加算は配偶者や子どもが対象で、孫は対象外。なお、加算対象となる延長4年間については、合計100万円までの贈与は対象外となる特例があります。


● 相続時精算課税制度とは?

対象者:

  • 60歳以上の親または祖父母が、18歳以上の子や孫に贈与する場合。
  • 申請には「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要(翌年2月1日〜3月15日)。

仕組み:

  • 一組ごとに2500万円まで非課税。
  • それを超える分には一律20%の贈与税。
  • 対象財産は金銭、不動産、株式など全て。

メリット:

  • 一度に多額の財産を移せる。
  • 財産の値上がりを抑えて節税になる(取得時の時価で固定される)。
  • 相続税が非課税の家庭では、税金ゼロで財産を完全移転できる。

デメリット:

  • 一度選ぶと「歴年課税」には戻れない。
  • 相続時に、贈与分が相続税の課税対象として加算される(税法上のみ)。

● 令和6年(2024年)の改正ポイント

  • 従来の2500万円の非課税枠に加え、年間110万円の贈与が非課税・持戻し不要に
  • 毎年の贈与も活用しやすくなり、柔軟な相続税対策が可能に。

● 不動産の贈与について

不動産も対象だが、登録免許税や不動産取得税がかかるため、実務上はあまり使われない。法人化や売却を通じた相続対策が主流。

● 歴年課税での贈与(毎年200万円×10年)

仮に10年間、毎年200万円を子どもに贈与する場合、歴年課税制度を選んだ場合は毎年110万円の基礎控除を超える90万円分に対して**10%の贈与税(9万円)**が発生します。これを10年間続けると、総額で約90万円(=9万円×10年)の贈与税がかかる計算です。

ただし、歴年課税の場合、相続開始前7年間の贈与は「生前贈与加算」により、相続財産に持ち戻されます。したがって、最終的に相続税が発生する場合には、その**7年間の贈与分(1400万円)**が相続財産に加算されることになります。

なお、その際に支払った贈与税63万円(=9万円×7年分)は、相続税額から控除されます。


● 相続時精算課税制度を選んだ場合の比較

同じく、10年間毎年200万円を贈与したとすると、相続時精算課税制度を選んだ場合は、毎年の贈与110万円までが非課税となり、10年間で計1100万円は無税で贈与可能です。

残る90万円×10年=900万円については、相続時精算課税の2500万円非課税枠内に収まるため、ここも贈与税は発生しません。ただし、相続時にはこの**全額(2000万円)**が相続財産に加算されます。

つまり、贈与税はゼロですが、相続税評価額は下がらず加算される点には注意が必要です。

とはいえ、年間110万円が無税で贈与できるようになった点は大きなメリットであり、例えば18年間かけて100万円ずつ贈与を行えば、約1800万円を完全非課税で移転することも可能です。


● 歴年課税と精算課税の使い分け方

生前贈与加算の7年ルールは、歴年課税にのみ適用されます。つまり、孫への贈与については、この持ち戻しの対象になりません。したがって、

  • 子どもには相続時精算課税
  • 孫には歴年課税

といった使い分けが、非常に有効な節税対策になります。


■ 相続時精算課税制度の申告書の書き方と提出時の注意点

● 申告期限と基本事項

申告書の提出期限は、贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日ですが、令和6年(2024年)は土日の関係で、2月3日開始〜3月17日までが提出期限となっています。

申告や届出は、スマートフォンでも可能ですが、相続時精算課税制度の申告にはパソコンのほうが便利です。


● 「相続時精算課税選択届出書」の書き方

申告の前に、必ず「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければなりません。これを提出しないと、制度自体が適用されません。

  • 受贈者情報:贈与を受けた人(子や孫)の氏名・住所・マイナンバーを記入します。
  • 贈与者情報:贈与をした人(親や祖父母)の氏名を記入します。
  • 提出理由の選択
    • 「申告書は出さず、届出書のみを提出する」場合はチェック欄に印を入れます。
      • 例:今年は贈与をしていないが、将来忘れないように先に届出だけしておきたい場合。

● 贈与額110万円以下なら申告不要

相続時精算課税制度を選んでいても、年間の贈与額が110万円以下であれば申告不要です。

ただし、贈与を行わない年でも制度を適用したい場合は、「選択届出書」は必ず提出する必要があります。


このように、歴年課税制度と相続時精算課税制度には、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。贈与相手(子ども or 孫)や相続時期、財産の規模を踏まえて、最適な制度を使い分けることが節税成功のカギとなります。

相続時精算課税制度と贈与税のポイント解説(令和5年改正対応)

贈与の基本パターンと課税の違い

毎年200万円を10年間子どもに贈与したい場合、主に2つの課税方式が検討されます。

① 歴年課税の場合

  • 非課税枠は毎年110万円。
  • それを超える 90万円 に対して10%の贈与税(毎年9万円程度)。
  • 7年以内に贈与者が亡くなると、その分は「相続財産」として加算される(生前贈与加算)。
  • 10年で63万円程度の税金が発生(9万×7年分)。
  • ただし、納めた贈与税は相続税計算時に控除可能。

② 相続時精算課税制度を選んだ場合

  • 生涯で合計2500万円まで非課税。
  • さらに、令和5年の改正で毎年110万円の非課税枠が新設
  • この枠内で贈与すれば申告不要。
  • 110万円を超えた分は2500万円控除内なら無税。ただし、相続時には全額相続財産に加算される

たとえば200万円を10年間贈与した場合:

  • 毎年110万円は非課税。
  • 残り90万円×10年=900万円は2500万円の控除内なので贈与税なし。
  • 合計2000万円を無税で移転可能。

制度選択と届出の注意点

  • 相続時精算課税制度を使うには 「選択届出書」の提出が必須
  • 一度提出すれば、同じ贈与者からの贈与には毎年再提出は不要。
  • ただし、別の贈与者(例:母とは別に祖父)からも贈与を受ける場合は、贈与者ごとに別途届出が必要

申告書の記入ポイント(相続時精算課税)

  • 提出期限は 原則2月1日〜3月15日(2025年は3月17日まで)
  • 土地・株式などの取得財産は明細欄に記載。
  • 財産評価額、贈与日、控除額(110万+2500万)、税額などを記入。
  • スマホでも申告可能(ただし複雑なケースではPC推奨)

実務上の活用例

  • お孫さんには歴年課税(加算なし)で贈与。
  • 自分の子どもには相続時精算課税で計画的に非課税枠を活用。

このように、改正後の制度では贈与の柔軟性が大きく向上しました。特に「110万円の非課税枠」を繰り返し使えることで、生前に財産を効率よく移転できます。今後の相続対策にぜひ活用してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次